ダイバーも意外と知らない!?【減圧症の原因と症状】

ダイバーも意外と知らない!?【減圧症の原因と症状】

ダイビングライセンスを持っている人はお馴染みの言葉となっている『減圧症』
ダイビングをしたことがない方も聞いたことがある方もいるかもしれません。

今回はこの減圧症について書いて行きます。

普段、陸上で僕たちが呼吸している空気。

この空気には様々なものが混じっております。

水蒸気を除けば、窒素、酸素、アルゴン、二酸化炭素・・・汚染物質等々・・・
今回はこの中で窒素と酸素がとても大事になってきます。

理由としては大気中の成分の大半を窒素と酸素が占めているからです。

今回は残りの成分は考えないものとします。

比率としては大体窒素が約80%。酸素が約20%となっており。

酸素は体を動かしたりすることに使いますが、
窒素はただ体から出ていくだけとなります。

減圧症って何??

まず水中には水の重さ、つまり水圧というものがあります。
水面に浮かべた風船を水中にもっていくと水圧で圧縮され風船の大きさは小さくなります。

つまり、空気(風船)が小さくなるということは、それだけ濃い空気になるということです。

なのでおのずと水中にいるときは陸上にいる時よりも濃い空気を吸うことになります。

そして濃度が濃い空気は水深の水圧に応じて体内へ溶け込みます。
体内に溶け込んだ窒素は通常、浮上時の減圧と共に呼吸などでは排出されます。
しかしこの浮上時に急激な速度での浮上など、圧力の低下により排出しきれない状態になると、体内に気泡が形成され、血管のつまりや組織の圧迫などを引き起こします。

簡単に説明すると、地上では吸っていても問題が無かった窒素ですが
海中など高圧環境で呼吸をと地上で呼吸している状態よりも濃度が濃い状態で体内へ溶け込んでしまいます。

そして海中から水面へ浮上するときに圧力の急激な変化により
過剰に体内に取り込まれた窒素は水面へ行ったときに体内で気泡へと変化します。
そしてこの気泡が血管内に発生することで毛細血管が塞がり、
さまざまな不調が体に表れます。

減圧症の症状とは??

減圧症の症状はかなり広く、軽度のものから重度のものまで様々です。
軽傷の場合は
・皮膚のかゆみ
・皮膚が赤くなる
・皮膚に斑点が生じる
・むくみ
・四肢の関節痛、腫れ
この中でも皮膚の斑点が大理石斑点の場合は注意が必要です。
これは重症化する減圧症の症状の前兆である場合があります。
また、関節痛は下半身に比べ、上半身、肩関節から指先、手指までの上半身の方が発症率は高く、
腰痛も重症化する減圧症の兆候の場合があります。

重症の場合は
・知覚麻痺
・運動麻痺
・膀胱直腸障害
・意識障害
・痙攣
・片麻痺
・胸痛
・咳
・息切れ
・めまい
・吐き気
・聴力低下
などがあります。
知覚麻痺、運動麻痺、膀胱直腸障害などは水面浮上から4時間以内。
意識障害、痙攣、片麻痺などは水面浮上後直後かダイビング中。
めまい、吐き気、聴力低下などは水面浮上から2~3時間以内に発症する方が多いと言われております。

さらに重症な場合も

減圧症は最悪の場合もっと重症な症状を引き起こします。
それは骨頭壊死という症状です。
「骨頭壊死」とは血液が十分に骨に流れず骨の細胞が壊死すること。
骨董壊死が起こると「骨頭穿孔術」という手術を受け、骨の再生を活性化させなくてはなりません。

骨頭壊死はすぐに痛みが生じることは無く、
痛みは壊死した骨頭が陥没した際に生じ、陥没が大きくなればなるほど痛みも強くなっていきます。
骨頭壊死を放置し股関節が変形してしまうと、歩行が困難になります。

減圧症にならない為の対策・予防

減圧症は誰にでも起こりえる事です。
そして最悪の場合死亡する場合もあります。
まずはダイビングのルールをしっかり守りリスクを減らしていきましょう。


基本的なルールです。

安全停止はしっかり5mで3分間。
基本中の基本です。
水深5〜6mまで上昇したら、この水深で最低3分間の停止をするのが浮上のルールです。
浅めの場所では、圧力の変化が急激であるため、水深5〜6m付近で一旦停止することが重要です。
10分以上経つと窒素の気泡の減少は緩やかになるため、停止時間は最大でも10分にしておきましょう。
またノンストップリミットを超えてしまった場合には必ず緊急減圧停止を行いましょう。

浮上速度を守りゆくり浮上
減圧症のメカニズムから分かるように、急激な水圧の変化に気を付ければ減圧症になることはありません。
減圧症を発症する原因の大部分は、浮上スピードが速すぎることにあり、浮上速度には細心の注意を払いましょう。
ダイビングのルールでは1分間に18m以上の上昇は避けるべきとしています。
1分間に10m程度の浮上スピードだと、毎分18mのときよりも窒素の気泡の量は減りますが、
毎分3m以下と浮上スピードが遅すぎると、逆に気泡の量が増えてしまいます。適度なスピードを心掛けましょう。
単純な話、インストラクターよりも速く浮上しないよう気を付けましょう。

必ずダイブコンピューターを装着してダイビング
ダイブコンピューターとは、自分の居るの水深、ノンストップリミット、ダイビングの潜水時間、浮上速度、安全停止時間のカウントなどを測定してくれる機械です。
ダイブコンピューターがあれば、安全な浮上が行えるようになるでしょう。
ダイバーの必須アイテムなので、ダイビング時には際は必ず携帯しましょう。

ダイビング直後、飛行機には乗りません

コロナ化の現在は飛行機に乗る機会も減ってしまっておりますが、
ダイビング後にすぐに飛行機に乗ると減圧症を引き起こす恐れがあります。
飛行機に乗ると、地上から気圧の低い上空へと猛スピードで移動するため、
海中から地上へと浮上する場合と同じ現象が起こります。
ダイビングにより蓄積した窒素が気泡となり、減圧症を発症してしまいます。

ダイビングにより体内に蓄積した窒素は、すぐには抜けません。
体内の窒素が抜けるのに要する時間は、18時間以上かかるといわれています。
ダイビングのルールでは複数回のダイビング後の飛行機に乗るまでの最小の待機時間は18時間と言われております。
そして、窒素が抜ける時間は潜水時間や潜水の深さによって変わるため、
場合によっては24時間以上体内に残ることもあります。
ダイビングの当日に飛行機に乗るようなことはもちろん、余裕を持ったスケジュールを心掛けましょう。
なお、飛行機の場合と同じ理由で、ダイビング後にすぐに山登り・高所への移動などもよくありません。

高血圧など生活習慣病の方はお医者様へ相談に行きましょう
高血圧や糖尿、その他の心血管疾患の方は、減圧症の発症リスクが高まるのでダイビングは避けるべきです。
ダイビングの適正血圧は、最低血圧が90以下、最高血圧が140以下とされているので、ダイビングを行う場合は事前に血圧の計測を行いましょう。
最近ではダイビングサービス内に血圧計が設置されている場所も多く見られます。
初めてダイビングに参加する場合は、医師のよる診断結果が書類として必要です。

まとめ

減圧症とダイビングは切っても切れない関係です。
ダイビングをしてる、または今後したいという方はしっかりとルールを守ることでリスクを最小限に抑えることが可能です。
これだけ潜って減圧症になっていない僕が言っているのですから。
そして万が一減圧症かな?と思っても慌てなくても大丈夫です。
中には、筋肉痛や四十肩などの診断となる方もいます。
ダイビング終了時に痛みなどが出たからと言って100%減圧症ということにはなりません。
気になる場合は病院へ行ってしっかり診察してもらいましょう。